通信「拓人」■第114号[2013年6月発行]

ここでは、通信「拓人」に掲載した
  東日本大震災の被災地の現状を紹介します。
福島被爆問題に関する調査報告 (1)
 NPO法人拓人こうべ 代表 福永 年久 (文責:十亀 智彦)


■2013年4月17日(水) 午前

場 所 福島県郡山市の介護事業所「たいむIL」
内 容 利用者、職員へのインタビュー

支給されたフランス製のガイガーカウンターで線量を毎日計測し、記録をつけてきたが、最近は週に何回かしかつけていない。測り方は、屋外に出てすぐのところで、地面から1㎝の高さと1mの高さで測る。


 
●屋外での記録
【 2011年6月3日 】
地表1㎝で1.13マイクロシーベルト/時(μSv/h)
地上1mで0.86マイクロシーベルト/時(μSv/h)
年間被曝量に直すとそれぞれ
9.8ミリシーベルト(mSv)、7.5ミリシーベルト(mSv)

【 2013年3月15日 】
地表1㎝で0.33マイクロシーベルト/時(μSv/h)
地上1mで0.34マイクロシーベルト/時(μSv/h)
年間被曝量に直すとそれぞれ
2.8ミリシーベルト(mSv)、2.9ミリシーベルト(mSv)


●屋内での記録
【 2012年6月14日 】
室内玄関付近で0.37マイクロシーベルト/時(μSv/h)
室内中央で0.41マイクロシーベルト/時(μSv/h)
年間被曝量に直すとそれぞれ
3.2ミリシーベルト(mSv)、3.5ミリシーベルト(mSv)

【 2013年3月15日 】
室内玄関付近で0.29マイクロシーベルト/時(μSv/h)
室内中央で0.33マイクロシーベルト/時(μSv/h)
年間被曝量に直すとそれぞれ
2.5ミリシーベルト(mSv)、2.8ミリシーベルト(mSv)
 

このとおり、今日も年間被曝線量は1ミリシーベルトを確実に超えていることがわかる。

しかし、被曝している福島の当事者たちにとっては、日々計測している被曝線量が少しずつ下がってきているのを直接見ており、日常生活の中で慣れてきている。

「被曝こわい。
がんになる確率高くなるし。
でも、感覚がマヒしてきている」
「被曝についての意識は下がってきている。
はじめのころは避難訓練でいわき市や相模原へ1~3泊したけど、今は高速道路無料もなくなったし」
という声が聞かれた。
「食べ物も水も気にならなくなってきている。
マスクなんかもう誰もしていない」
「被曝はこわいけど、わかんないです」
「当初はこわいなあと思ったけど、今は考えてないです」
というように、日常生活の中でしだいに感覚がマヒしてきた様子がうかがえる。

看護師に聞くと

「子どもには登下校時にマスクをさせています」
「小学校や幼稚園では今でも外で遊ぶ時間を30分とか1時間以内に制限しています」
「福島県では子どもの肥満が増えており、体力の低下が数字に出ているという調査結果があります」
という。

■2013年4月17日(水) 昼食時

場 所 就労支援B&介護事業所「ワークIL」
内 容 利用者、職員へのインタビュー

利用者9人中60代が2人いて、最年少で44歳という年齢層。

もともと就労支援Bで子ども向けのオリジナルストラップなどを製作してきた。ところが、福島第一原発事故が起きた2011年に子どものいる世帯の多くが県外に引っ越していったので、販売会をやっても子どもがいなくなってしまった。

そのため、今では介護事業が主になっている。


15歳と20歳になる子どものいる利用者に聞くと、

「1年くらいはすごく気にしてマスクしたり、表にでないようにしたり、子どもを外で遊ばせないようにしていたけれど、最近は慣れてしまって、意識は低くなった。
高校も最初は1時間までと言ってたけど、今は何も言わなくなった」
という。

来年から高校生になる子どもについては「県外の寄宿学校に行かせたい」と希望している。

食べ物については、産地をみて買うようにしており、昼食は弁当を持参する人も少なくないらしい。


職員にも話を聞いた。

「郡山市はこれまで除染は公共の場所だけやってきて、一般住宅の除染はやっと今年からはじまり、線量の高いところから順にやっています。
ようやく業者がうちにも来て、もってきたドラム缶みたいな容器の容量から、庭の土は1㎝しか削れないと言われて呆れました。
それって逆でしょ?しかも、削った土を容器に入れても、保管場所がまだ決まっていないので、庭に置いておくか?埋めておくか?決めるように言われたので、埋めてもらいました。
保管場所が決まったら、取りに来ると言われましたが、いつになるかわかりません」

( 2013年4月24日 記 )




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